ベタベタしたお釣りを渡された時の弊害
お昼ごはんを食べに、会社の近くのラーメン屋さんに行くことがあるのだけど、このラーメン屋さんのおばちゃんは、洗い物をして、手を拭かずにお釣りをレジから取り出すもんだから、もらったお釣りがベタベタしている。
お釣りがベタベタしているのは不快だ。妄想も膨らむ。
例えば、私がベタベタしたお釣りを受け取った後に、コンビニでお茶を買ったとしよう。もちろん、ベタベタしたお釣りを早く手放したいから、ベタベタしたお釣りでお茶を買うことになる。
ベタベタしたお金を受け取った、コンビニのお姉さんは、「(このお金ベタベタしてる。お客さんには渡せないよ。)」と少し不快に感じながら、表情には出さず、業務を全うする。
私が去った後、後ろに並んでいたお兄さんは、タバコを買おうとして、1000円札を出す。
コンビニのお姉さんは、ベタベタしたお金を誤ってお釣りに使ってしまい、「(あ、しまった!)」とハッとして、お兄さんの表情を伺う。怪訝な表情はしていない。よかった。
同時にコンビニのお姉さんと目が合ってしまったお兄さんは、「(あ、この子、かわいいかも。)」と感じてしまう。ハッっとした女の子の表情は、得てして萌えるものだ。
お兄さんは「このお釣りベタベタしてますねw」と話かける。「あ、ごめんなさい。お釣り変えますね。」とお姉さん、「いや、全然気にしないでいいですよ^^」とお兄さん。
和んだ空気の二人の間には、親近感が芽生えている。そして、お姉さんは、お兄さんのやさしい対応に、毎日のルーチンワークな接客業務にはない、あたたかさを感じている。
「今日の夜、空いてますか?」
少し勇気を振り絞ってお兄さんが問いかける。普段から心構えができている人間には、「店員」でGoogle検索する時に表示される、Googleサジェストの検索候補を実際に入力することは決してない。アレコレ考える前に行動できるのだ。
どきっとするお姉さん。
「(え、これってお誘い?)」「あ、はい。18:00にあがる予定ですが、その後は特に...」
「じゃあ、その頃にまた来ますから、お食事しましょう。(よっしゃ!)」
戻ったお兄さんも、お姉さんも、仕事はうわの空。
時間が進むのがすごく遅く感じる。やっと18:00になった。
お兄さんとお姉さんは約束どおり食事に出かける。
「僕、最近彼女と別れたんですよ。クリスマス前なのにね...」「実は、私も先月彼氏と別れたばっかりで...」などと夢がひろがりんぐな会話が次々に交わされ、トントン拍子に交際することに。
そして、クリスマスイブ。
「もしかしたら、あのベタベタしたお釣りは、少し早いサンタさんのクリスマスプレゼントだったのかもね」と、顔から火が出るようなくさいセリフを口にするお兄さん。そして、「なんてロマンチストなんだろう、この人。素敵。」と、交際直後に起こりがちな盲目的思考で突っ走っているお姉さん。二人はベタベタしている。
そして、私は今日もベタベタするお釣りを受け取って不快に感じているのだ。
「ちくしょう。ベタベタしやがって。」
結論
クリスマスが過ぎ去るまで、ベタベタするモノは俺の敵