「考え方」の考え方のレビュー
考え方の考え方を考えるコストって、かなり高くつくので、何かヒントになることが得られればいいなと思い、本書を手にしました。
優れたアイデアを生んだ、たくさんの事例を目の当たりにして、考え方のヒントを得ることができた気がします。
- 作者: 指南役
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2008/10/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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筆者は企画のプロ集団である指南役さん。数々の企画コンテストの受賞経験があって、テレビで話題になっている作品もプロデュースしてたりします。
目次
- プロローグ
- 1章 始動 スターター・キット(はじめにゴールを見る とりあえず書き始める ほか)
- 2章 環境 シチュエーション(制約はチャンス 立ち位置は関係ない ほか)
- 3章 技術 テクニック(笑えること 具体的であれ ほか)
- 4章 品質 クオリティ(タイムリミットは30秒 アイデアは美しい ほか)
- エピローグ
- 参考文献一覧
- 写真出展一覧
レビュー
本書は随所にちりばめられた引用や逸話が非常にためになります。というのも、それらすべてが優れたアイデアを創り出してきた先人達の言葉や記録だからです。
P25〜 「1章 始動」 とりあえず書き始める より
夏目漱石の逸話
漱石は決してインスピレーションが湧くのを待って書き始めるタイプではなかったそう。毎日午前中、決まった時間に決まった分量だけ書いていたという。
村上春樹さんも、同じことを証言しているそうです。
とりあえず書き始める。手を動かして、初めてアイデアが降臨するんですね。ブログ書くときとかも同じなので共感できます。
P65〜 「2章 環境」 制約はチャンス より
ソフトバンクのCMで犬がタレント起用されたわけ
日進月歩でサービス内容が変わる携帯電話の世界では、サービスが変わる度にCMの撮り直しをクライアントから求められることも少なくない。
...中略
犬ならスケジュールの確保も容易だし、サービス内容が変わってもアフレコを取り直せばいいだけだから、変更も容易である。
サービスの特性上、タレントの確保が難しいという制約下において、犬をタレント起用したことで、結果的に優れたクリエイティブになったという逸話。
話題性があるし、犬で癒されるし、ソフトバンクの白というカラーも映えて良い効果をもたらしますね。そう言えば、以前、制約に関するエントリー書きましたね。
P84〜 「2章 環境」 アイデアは夜作られる より
手塚治虫氏の言葉
締切りは、クリエイティブの原動力なんです
ディズニーランドも、ウォルト・ディズニーが「遊園地を造ることにしたんだ」という一言から、画家が2日間で図面と企画書を作り、プレゼンをしたそうです。
仕事が進まないことの言い訳にしちゃいけないけど、締め切り直前って火事場の馬鹿力が出ますよね。その傾向は、先人達にもあったんですね。
P154〜 「3章 技術」 ネーミングのコツ より
機動戦士ガンダムの登場キャラ等のネーミングの秘密
かの作品にはシャア・アズナブルやランバ・ラル、マ・クベといった人名から、ザクやガンキャノン、ホワイトベースといった兵器の名前、ジャブローやオデッサ、ジオン公国といった地名や国名まで、一度聞いただけで印象に残る秀逸なネーミングが数多く登場する。
それもそのはず。
富野監督は、普段から新聞等でいい語感の外国人の名前を目にしたら、それをメモして、いつか使える日のためにストックしていたのだ。
良い言葉は偶然生み出されるわけでなく、必然であるということを感じさせる逸話ですね。誰でもアクセスできる情報から、優れたネーミングが生み出されているということを知ると、アイデアを作り出す人は、努力の人であるということを痛感します。
まとめ
冒頭のプロローグにて、筆者はこう述べています。
なぜ優れたアイデアを生み出し、それを生業とすることができるかについて
別に僕は頭脳明晰でもなければ、天賦の才があるわけでもない。ごくごく普通の教養と発想力しか持ち合わせていない平凡な人間である。そんな僕でもアイデアを次々に生み出せるのは、ひとえにアイデアの「考え方」を身につけているから。
この本で紹介されている引用や逸話のように、先人達の実践してきた「考え方」の考え方を本書で学び、クリエイティブなアイデアを出せる技術を身につけられればと思います。